佐賀大学 農学部 生物環境科学科 浅海干潟環境学研究室 有明海と干潟の自然と環境を考える

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研究テーマ

[今までの主な研究テーマ]

有明海奥部干潟域における脱窒菌群の空間的分布と脱窒特性

 有明海奥部の河口域や沿岸域には、広大な天然干潟が発達しています。有明海の窒素循環や環境浄化において、脱窒は重要な素過程です。本研究では、年間を通して有明海沿岸域の脱窒菌群の分布について広域的な現地調査を行い、泥質干潟の脱窒特性について数年間毎月調査を行いました。これまでに、1.有明海沿岸域における脱窒菌群の分布特性と底質環境との関係、2.泥質干潟域底泥中の脱窒菌群の季節変化、3.泥質干潟域における脱窒速度の季節変化とその影響因子、4.泥質干潟底泥の物理環境などの成果が得られました。

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有明海泥質干潟域底泥の物理化学環境に影響を及ぼすベントス活動の解明

 一般に干潟には、たくさんのベントスが生息しています。しかし、生息するベントスの種類と数は、干潟の環境によって大きく異なります。すなわち、各干潟の環境に適した種類と数のベントスが生息し、摂食、排泄、巣穴形成等の生物活動を通して、干潟生態系は支えられています。本研究では、有明海奥部の泥質干潟に調査区を設置し、ベントスの生態調査、干潟の微気象計測、干潟底泥の泥温計測、巣穴の連続モニタリングなどの現地モニタリングを行っています。これまでに、1.泥質干潟の表面に形成される巣穴数の統計的分布特性、2.埋在性マクロベントスの生息数と底泥内の酸化還元環境、3.表在性底生生物の日周活動、4.底泥内の温熱環境特性などの研究成果が得られました。

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有明海奥部における貧酸素水塊の発生メカニズムの解明

 有明海奥部では、夏季に貧酸素水塊(海水中に溶けている酸素が極端に低くなった状態)が頻発しています。貧酸素水塊は、底生生物の生息環境に悪影響を及ぼすと考えられ、その発生メカニズムの解明と防止対策の検討は喫緊の課題です。本研究では、現地調査や既存の海洋データを用いて、有明海奥部における貧酸素水塊の発生メカニズムを解明することを目的としています。これまでに、1.貧酸素水塊発生時の海況と海域特性、2.ボックスモデルを用いた貧酸素水塊発生にかかわる物理・化学的パラメータの解析、3.密度成層の形成と貧酸素水塊発生との関連性などの研究成果が得られました。

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有明海奥部底泥における栄養塩動態の解明

有明海奥部の底泥は、栄養塩の生成及び供給の場として重要な役割を果たしており、底泥における栄養塩動態を明らかにすることは、海域の水質環境を考える上で重要と考えられます。本研究では、現地モニタリングや室内実験より、底泥における物理環境や栄養塩動態を明らかにすること目的としています。これまでに、1.底泥内の酸化還元環境や有機物量などの季節変化、2.底泥間隙水中の栄養塩濃度の季節変化、3.底泥-海水間の栄養塩フラックスに季節変化、4.底泥内の吸着態NH4の変動特性などの研究成果が得られました。

        有明海の現地調査  ダイバーによる採泥

[現在進行中の研究テーマ]

有明海奥部底質の中長期モニタリング

 海底は、海のいろいろな環境の変化が堆積物の変化として現れる場所です。底質は、生物相や海底境界層の栄養塩循環などと関連するため、その変化は、海域の水質環境や生態系と密接に関係すると考えられます。この研究では、今後の有明海の中長期的な環境変化を底質環境の側面から明らかにするために、有明海奥部に多地点の底質調査地点を設置して、詳細な底質のマッピングデータを作成し、そのデータを集積していくを目的としています。
 数年前から思い描いていた研究計画ですが、なかなかプロジェクト研究等で忙しくて手が回りませんでした。2014年から一念発起して開始しました。できれば、10年単位の長~いスパンで地道に底質調査を継続していく予定です。学生もこの研究が今年1年目ということで、是非継続して研究室の伝統にしてもらいたいと言っています。
 2014年の冬から調査・研究を開始しています!

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有明海泥干潟におけるマクロベントスの生息場適性指標(HSI)モデルの構築

 本研究では、東予賀の泥干潟における表在性と埋在性のマクロベントスとその生息環境のモニタリングを行います。泥干潟での調査にかかる時間と労力が多大なため、生物に関するデータが継続的に収集されていません。ここでは、マクロベントスの生息を左右する環境因子を数値的に捉えるHSIを構築し、将来干潟の環境が変化した場合、どのようなベントスの生息パターンや分布の変遷があるのかを明らかにすることを目的としています。この研究テーマは、東よか干潟のホームドクターを目指す内容となっています。
 現在、調査中や調査計画をしている項目は、以下のものです。
1)表在性と埋在性のマクロベントスの生息空間パターン
2)底質環境の空間分布
3)干潟の微地形計測
4)干潟の底泥堆積量の計測
5)シチメンソウ群落の形成環境
 実は、現在一番思い入れの強い研究テーマです!

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マクロベントス(カニ類)のBioturbationが泥干潟の物質循環に及ぼす影響評価

 本研究では、高潮間帯のマクロベントスで優先して見られるカニ類の生物活動が、泥干潟の物質循環にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的としています。ここでは、カニ類の行動解析、巣穴の形成パターンや形状解析、カニ類を用いた巣穴近傍の物質循環に関する室内実験などを行い、今後、HSIモデル構築と一緒になって力を入れていく研究テーマです!
 現在、調査中や調査計画をしている項目は、以下のものです。
1)カニ類の生態行動解析
2)巣穴の分布パターン解析
3)巣穴の形状解析
4)干潟の微気象及び熱環境の計測
5)カニ類の巣穴近傍における物質循環

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有明海底泥の巻き上げに伴う懸濁層内の栄養塩動態の解明

 有明海奥部の浅海域には、粘土やシルトなどの微細な土粒子が厚く海底に堆積しており、この底泥粒子は潮流や波浪により比較的容易に巻き上げられます。底質の巻き上げは、海域の水質環境や干潟の消長に多大な影響を及ぼすと考えられますが、内部負荷としての栄養塩の溶出・拡散と巻き上げとの関係は十分わかっていません。本研究では、底泥の巻き上げに伴う懸濁層内の栄養塩動態、特に底泥への栄養塩の吸脱着特性について現地調査や室内実験により明らかにし、そのモデル化を行うことを目的とし、現在研究中です。

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諫早湾及び潮受け堤防内調整池底質における栄養塩環境の季節変化

 諫早湾潮受け堤防排水門の中長期開門により、諫早湾における水質・底質環境の再生・回復が期待される一方、開門条件によっては底質の巻き上げに伴う栄養塩拡散などによる赤潮発生の助長が懸念されています。そこで、本研究では、諫早湾と調整池内に複数の調査地点を設け、湾内における底質の栄養塩環境の空間的分布を把握すると同時に、中長期開門に伴う底質栄養塩環境の変化が、湾内の水質環境にどのような影響を与えるかについて明らかにすることを目的とし、現在研究中です。

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TDRを用いた泥質干潟域底泥の変動量に関する連続モニタリング技術の開発

 有明海奥部に形成される広大な泥質干潟には、ムツゴロウやシチメンソウなどの希少な動植物が生息・分布しており、その環境の保全は非常に重要です。干潟環境の保全を考える上で、干潟底泥の変動量を把握することが必要です。しかし、泥質干潟は、極めて軟弱な底質であるため、通常の測量などによる方法で計測することは非常に困難です。そこで、本研究では、近年土壌学の分野で盛んに利用されているTDR(時間領域反射法)を用いて、泥質干潟底泥の変動量を連続モニタリングする技術の開発を目指し、現在研究中です。この研究テーマには、特定研究員の石谷君が取り組んでおり、現在、精力的に基礎データを収集し、論文を作成中です。

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