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Research

 空から降った雨が山地にて涵養され、それが河川や地下水となって合流し、最終的に湖や海へと流出する。流域を研究スケールのユニットとしてとらえることにより、地形、地質、土地利用の変化にともなう水の流動変化、水質進化、微生物や人間の活動に伴う水質変化、海と陸の相互作用の特徴を総合的に判断しやすくなります。
 流域内で水はその流れと共に水質の特徴を進化させます。例えば、雨は大気中の二酸化炭素を溶かし込んでいるため通常弱酸性です。また、植生に覆われた大地では土壌中で有機物の分解が起こり、その結果水は二酸化炭素を含むようになります。こうした水が土壌中で鉱物と反応し、いわゆる“化学風化”という現象が起きます。この現象は、例えば二酸化炭素を固定化する役割を持つため、最近では温室効果ガスのバッファー能力を評価する観点からの研究も進められています。こうした水が地下水として涵養され、反応が促進されると溶存成分に富むようになり、その結果、ミネラルウォーターが形成されるようになります。さらに、火山活動や断層活動が活発な地域では、しばしば地下深部のマグマ水や熱水などの流体が湧昇する現象が認められ、これによっても地表循環系の水質が変化することになります。
 このように、大気圏からもたらされ生物圏を通った水は、場所によっては地下深部からの流体の寄与も受けつつ、“流域”という舞台で、地圏の物質や微生物との生物地球化学的反応を通して、水質進化を起こしていきます。
 動植物の生命活動は有機物の供給や分解を通して流域に変化を与え、炭素や窒素といった生元素の地球表層物質循環をつくってきました。しかし、今日では人間活動の活発化によって自然のサイクル以上の窒素や炭素の負荷がのしかかり、例えば、特に物質の蓄積が起こりやすい帯水層では、地下水の硝酸性窒素汚染が世界的問題へと発展しています。面源人為汚染としては特にこの硝酸汚染問題が注視されていますが、この他に地下水砒素汚染など非人為起源の汚染や、化学物質の漏出などによる点源汚染も存在します。一方、見方を変えれば、例えば脱窒菌による硝酸汚染自然浄化など、自然界には微生物の活動によって汚染の影響を修復する機能が備わっている場所もあります。しかし、その実態や能力、また限界については重要にも関わらず詳しく分かっていないことも多いのです。
 今日の地球環境変化に対応してゆくためには、その実態を“より正確に知る”努力が欠かせません。細野研究室では、地球を構成する様々な元素の自然界におけるサイクルを理解しながら、学問的かつ社会的にホットなテーマに注目し、流域環境の変化やその原因を読み取り、未来への予測につなげる研究を進めています。対策を講じるための重要な基礎情報を構築してゆくことも、本分野に課せられた大切な仕事だと思っています。こうした基本概念を軸としながら、注目している流域の各部分における研究テーマ(下図の①~⑩に該当)を、上流域から下流域にかけて簡単にご紹介したいと思います。また最近では、2016年4月に発生した熊本地震による地下水環境変化の実態把握に関する研究も推進しています。興味のある方は是非“Research topics”の欄をのぞいてみてください。

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